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高松高等裁判所 昭和24年(控)1114号 判決 1949年12月24日

被告人

乘松盛美

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役十月に処する。

但し裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

原審の訴訟費用中証人佐藤貞弌に支給した分は被告人と原審相被告人富田昭との負担とし、証人寺尾明俊に支給した分は被告人の負担とする。

理由

弁護人白石近章、同佐々木一珍の控訴趣意は第一点原判決は事実を誤認して法令を適用した違法がある。原判決は判示第二の事実を竊盜罪と認めその法條を適用しているが、当時被告人は愛媛縣庁雇として文書課に勤務し商工、水産、開拓、食糧各課への文書の收受、発送、及び電報、速達の配布事務を担当していたもので本件の小切手は被告人が普通郵便を開封した際、これを現実に支配する関係が偶然に生じたものであるから、被告人が右小切手を占有したものと認定すべきであり従つて右の事実に関しては橫領罪をもつて問擬せらるべきである。原判決にはこの点に事実誤認。法令適用の誤があるというのであるが、原判決が原判示第二事実の罪証に供している原審公廷における被告人及び証人寺尾明俊の右供述によれば被告人が所論文書を職務上占有保管すべき権限を有しなかつたことが明らかであり本件小切手に関する被告人の右供述殊に「小切手は金件係に渡そうと思つておりましたがその中に心が迷つて、私の所へ持つて帰つたのです」との供述によれば、被告人の所爲は原判示の通り竊盜罪を構成するものであつて、所論のように單純橫領罪は勿論業務橫領罪をも構成するものではないと断ずべきであるから論旨は理由がない。

〔註〕 本件は結局量刑不当にて破棄。

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